* - Story - *




カンカンカン。
 

鐘の音が鳴り響き、
あたり一面を、朝焼けが照らします。

遠くからは海のさざなみの音色と、
海鳥の鳴き声。

その海が見える場所に、
小さな田舎町、
『スイーツ・ライン』はありました。

日が昇るにつれて、
市場は、にぎわいを見せます。

その街中の一角に白とオレンジで彩られた
可愛らしい建物がありました。

木で作られた看板には、大きく

『ラ・フィルレ』の文字。


少女にとって大切な、
第二のラ・フィルレ。


今日は朝から店の準備に大忙しです。


・・・・・・・・・・・・・・・・・

「んー、すがすがしい朝だね、プディ」

「わんっ」

「今日はお店開店の初日だもんね、
チラシも配ったし、お菓子もいっぱい作ったし、
後はお客さんが来るのを待つだけかぁ」

「わんっ」

「向かいも隣もパティシエのお店ばかりだけど、
お客さんくるといいなぁ・・・」

「くーん・・・」

「あは、弱気になっちゃ駄目だよね、
頑張ろうね、プディ」

「わんっ」

ドドドン!!!

「ひゃ!だ、誰・・・!お客さんかな?」

「ちょっと!!!
 あなた、街のあっちこっちにこんな物配ってるんじゃないわよ!」

「お客さん?」

「な訳ないでしょうが!!
 あたしは、ショコラ。この向かいの店のオーナーの娘よ」

「は、はあ」

「大体非常識じゃないの、こんな近くに同業の店建てるなんて」

「え、で、でもここは、私の両親の」

「もんっどうっ無用!!! オーナーだしなさいよ!!」

「え、あ、オーナーは私ですけど」

「・・・オーナー?
 ・・・あなたがオーナー?」

「は、はい・・・」

「アハハハハ、って冗談じゃないわよ!!!
 こんな店あたしがつぶしてやるんだから!!!」

「エエエエエエ、ちょっとそ、そんなこといわれてもー!!!」

「ええい問答無用ーーーーーー!!!
 今から来るお客さんにショコラを30コ売りなさい!
 出来ないならこの町から追い出しちゃうんだからー!!!」

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ミニゲーム

クリア条件:

ミニゲーム終了:

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「ふう・・・売れたみたいっ」

「う、嘘・・・」

「これで立ち退かなくていいよね、プディ」

「わんっ」

「ふ、フン!何よ!30コ売ったぐらいで調子に乗らないでよね!
 うちの店なら200コだってあっという間なんだから!!
 という訳だから、早く店を閉めなさいよね!!」

「そんな、さっき言ってたことと違うじゃないのっ」

「うるさいわね、あたしのいう事は絶対なんだから!!!!!」

カランカラーン・・・

「ショコラお嬢様、何処に行ったのかと思ったら、こんな所で何をしているのですか」

「トルテは引っ込んでて!」

「いいえ、引っ込みません。帰りましょう」

「いーやーよ!!!もう、うるさいな!黙っててくれる!?」

「いいえ、黙りません」

「なーにーよ!!!うむっむぐむぐ・・・・ふふひははいほっ(訳:離しなさいよっ」

「私はトルテと申します、ショコラお嬢様がご迷惑をおかけしました」

「大丈夫です、気にしないでくださいね」

「そうですか、何しろここはケーキの激戦区ですから、
 新しい店がいつ建ってもおかしくありません。
 お嬢様はオーナーのことを気遣って、つい先走った行動を取ってしまうので」

「・・・うぐぐ」

「気遣うって、お店、上手くいってないんですか?」

「いいえ。ですが、いつどの店が潰れてしまってもおかしくない。
 ここはそんな激戦区になっていますから。うちとて、いつなくなってもおかしくありません。」

「お嬢様は、何一つ洋菓子は作れませんが、オーナーである父上の作る味を愛しています。
 少しでも長くこの街に愛されていて欲しい、そういう想いからつい、こういう行動に出てしまうことがあるのです」

「・・・・」

「・・・トルテ、もういいわよ、いきましょ」

「あ、はい。お嬢様・・・」

「あの、ショコラさん」

「何よ!」

「今度、ショコラさんのお店のケーキ、食べに行きますね」

「・・・!・・・・ふ、ふん、好きにしたらいいんじゃないの」

「いいって、ことですか?」

「だ、誰も来たら駄目なんていってないじゃない!」

「えへへ、ありがとう」

「ッ・・・ふん・・・//////」

カランカラーン

「ねえプディ、あの子、友達になれるかな」

「わんっ」



エピソード「強気で小さなライバル、ショコラ現る」 end




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